訪問看護

訪問看護の現状と展望

訪問看護の現状

訪問看護ステーション数は1992(平成4)年の制度開始後、5,000カ所に到達した2000年頃までは順調に伸びてきましたが、その後2010(平成22)年頃まで横ばい状態の期間が長くありました。

伸び悩みの要因は、人材の不足や報酬の低さ、地域の特性に適応していないサービス提供体制等が挙げられていました。しかし、近年は在宅医療の充実が医療政策、介護政策の中心的課題となり、診療報酬や介護報酬上の評価もさまざまな加算がついたことで、2012(平成24)年より毎年700800カ所の訪問看護ステーションが増えています。

2017(平成29)年の届け出数は1万カ所を超え、設置主体は株式会社が44%を占め、制度創設の状況と様相が違ってきている。俳せて年間400500カ所が休廃止をしている実態もあり、ようやくゴールドプラン21の目標数を達成したものの、事業の継続性や質の担保が課題になっています。

訪問看護ステーションの規模は5人未満のところが約5割を占めており、人員規模によって、24時間連絡・対応や緊急時訪問、特別管理、夜間・早朝訪問の加算等の取得状況に相違が出ています。

また経営状況にも影響し、職員数の多いところは1人当たりの訪問回数が多く、収支差率がプラスになっています。

就業者数も5万人に迫ってきたものの、就業看護職員の約3%とその割合はきわめて少なく、今後の需要の増大に対応するためには訪問看護師の需給見通しの策定が必要になります。これまでいくつかの研究機関等が訪問看護師の必要数を推計しているものの、地域包括ケアシステムや地域医療構想の策定など訪問看護師の需給に大きく影響する施策が組まれているので、それらを見越しての需給推計が待たれます。

訪問看護の展望

訪問看護ステーションの大規模化

これまでは訪問看護ステーション数の増加を第一義とした施策が中心でした。今やその数は1万カ所を超え、ここ数年の増加のスピードには勢いがあります。看護職員2.5人で開設できることや事業所整備においても施設に比較すると初期投資の額が小さく、また今後の需要に鑑みれば、訪問看護ステーションは今後も増えていくだろうと推察できます。

しかし、5人未満の小規模事業所ばかりが増え、運営管理のノウハウももたないままに参入と閉鎖を繰り返したのでは「訪問看護の価値」が揺らいでしまいます。

さらに今後は、複数疾患を併せ持つ人、退院直後で状態不安定な人、小児、精神疾患や障がいがある人等、健康問題が複雑多様でそこに生活者としてのさまざまなニーズが潜在して療養する人に対して、柔軟に対応できる訪間看護師の力量が問われてきます。

そしてどのような人にも必ず終末期があり死を迎えます。地域の中でさまざまなニーズをもつ生活者の療養を長期的に最後まで支援していくためには、訪問看護師のケア提供能力を高めていくことが求められます。

そのためには、訪問看護師の人数を増やし、教育体制を整えること、研修等も受講できる体制を整えること、訪問看護ステーションの事業が地域に根づき、安定的に運営できることが必要になります。

すなわち訪問看護ステーションの大規模化である。この理念を政策として実現を見たのが「機能強化型訪問看護ステーション」です。

重度者や終末期ケアを提供し、スムースな介護との連携を日常的に行い、人材育成と地域住民への相談機能をもったステーションは地域の訪問看護サービスのハブとして機能することができます。

また、ほかのサービス事業者とも連携を密にとることで地域のケア力を上げていくことに貢献できます。

訪問看護の多機能化

複雑なニーズをもつ人々の長期的な在宅療養支援は訪問看護だけでできるわけではありません。特に今後は医療ニーズのある人、退院直後で状態が不安定な人、中・重度の要介護者が介護保険でのサービスを受けて暮らしていくことになります。

2012(平成24)年に創設をみた看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護など訪問看護と複数のサービスの統合が始まっており、訪問看護が多機能化していく時代になりました。

さらに訪問看護は利用者宅のみならずグループホームや特別養護老人ホーム等、自宅と同じような環境をもつところで療養している人々にも看取りの支援や健康管理等を目的として訪問先を拡充してきました。

市町村とともに地域住民への健康管理や介護予防事業にも参画できるとさらなる地域貢献となり、地域住民にとっても訪問看護がもっと身近になると思われます。