理学療法

理学療法士に求められる行動

理学療法士はヘルスケアの専門職として、社会的要請の多様化や変遷に対応すべく、常に研鑽を積み、理学療法会の発展に努める行動が求められます。

そのためには、高度な教育水準の卒前教育だけでなく、最新の知識や技術を導入するための卒後・生涯教育が必須です。以前に比較すると理学療法に関連した情報は増えて比較的容易に入手して利用できる状況となっています。

理学療法学として体系化していくためには、各理学療法士による日々の行動が基礎となります。

卒後教育システム

日本理学療法士協会では、生涯学習システムにおける新人教育プログラムが都道府県士会あるいはブロック単位で実施されています。また、協会主催の各種研修会および分科学会主催の講習会や学術研修会が活用可能であり、年々その数や内容が充実してきています。

協会主催の分科学会学術集会と全国学術研修大会は、それぞれ年1回開催されており、研究発表や情報交換、最新の知見の入手に有用です。

協会以外にも、各都道府県士会あるいはブロック単位での研修会・講習会・学術大会などが複数企画・運営されています。

また、日本ボバース研究会、日本PNF研究会、関節ファシリテーション研究会など、各種治療技術に関連した協会・研究会開催の研修会などにも参加できます。

特に治療技術の習得については、机上の学習では限界があるとともに、臨床での経験があり、習得した技術を臨床で速やかに活用することが必要であるため、卒後の学習が重要です。

さらに、理学療法以外の保健・医療・福祉領域や隣接学際領域の学術大会が多数あり、所定の手続きで会員になることも可能で、学術大会への参加や発表も可能です。

専門雑誌・学術雑誌の利用

理学療法の専門性に関連した書籍は確実に増えてきています。いわゆる教科書・成書も知識の充実には利用可能ですが、最新の知見を得るためには、専門誌や学会が発行している学術誌から情報を得ることが大切です。

理学療法に関連した専門誌としては『理学療法ジャーナル』『理学療法』などが、学術誌として『理学療法学』『理学療法科学』などがあります。

海外で発刊されているものは、『Physical Therapy』『Physiotherapy』『Physiotherapy Canada』『Journal of Physiotherapy』『Clinical Rehabilitation』『American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation』『Archives of Physical Medicine and Rehabilitation』などがあります。

学生時代から理学療法に関連した専門・学術誌に親しむことが大事ですが、インターネット上で『PubMed』や『医学中央雑誌』などのデータベースが容易に活用可能で、電子ジャーナルも充実してきています。

臨床現場での学習

卒後教育・生涯学習では、能動的学習・自己学習が大切です。その際、病院・施設などの臨床現場では、同僚や先輩、後輩とのカンファレンスや勉強会を活用します。対象者の状況や理学療法の内容を発表し、意見交換することで、既存の知識が整理・統合され、新たな疑問を抱くことや知識を習得することにつながります。

また、臨床実習教育への参画も後輩の育成以外に、自己学習の機会として捉えることができます。学生とともに考え、治療場面の実際やその根拠を説明することなど自体が有意義となります。

科学的志向性

科学的に思考して行動することは、単に研究するか否かを意味しているものではありません。臨床現場で遭遇する対象者の病態や症状の変動などに関する課題を観察し、論理的に思考し、適切に課題を臨床推論によって解決することです。

課題を解決するための知識や技術も重要ですが、さまざまな現象を単純に鵜呑みにせずに注意深く観察し、十分に思考しようとする姿勢が臨床家としての基本となります。

科学的に行動するためには、柔軟で多角的な視点で考え、ある意味で懐疑的な態度が必要であり、現象としての事実と意見を区別し、物事の原因や関連性を分析的に考察し、さらに根拠について吟味することが求められます。

また、自己の行動について謙虚で、他者に対する批判よりも自己の思考のあり方について反省し、誤りや失敗から学ぶ姿勢が重要といえます。